妊娠初期は特に感染症に気を付けたい時期です。
感染症にかかってしまうと、妊婦さん自身につらい症状が現れるだけではなく、お腹の赤ちゃんに影響する場合もあります。
どんな感染症も予防が大切ですが、100%防ぐことはできません。
早期発見・早期治療ができるようにどのような感染症があるか知っておくと体に異常があった時にすぐに気づけると思います。
今回は妊娠初期に気をつけたい感染症について、感染経路や予防方法についてまとめました。
妊娠中に気をつけたい感染症は?
妊娠中は免疫力が低下して感染症にかかりやすい?
妊娠中(特に妊娠初期)には免疫力が低下することをご存知でしょうか?
妊娠中に免疫力が下がる理由にはいくつかありますが、1番の理由は「赤ちゃんを守るため」と言われています。
妊娠する前の体は、自分の体を守るために活動していますが、妊娠初期に入ると自分の体だけでなく、赤ちゃんをしっかりと守るようになります。
このような状態へとシフトするため、免疫力が一時的に低下するのです。具体的な理由として、妊娠初期は妊婦さんの体が、赤ちゃんを異物として捉えてしまい、これが流産などにつながるリスクとして高くなります。
妊婦さんの免疫力が高ければ高いほど、赤ちゃんを異物として認識してしまうのです。そのため、一時的に免疫力を下げて赤ちゃんが、異物ではないことを体に教えています。
他にも、ホルモンバランスの変化や、ストレスによって免疫力が下がるとも言われています。
妊娠中に気を付けたい感染症の種類
妊娠中に気をつけたい感染症についてまとめました。
気をつけたい時期や感染経路、赤ちゃんへの影響などもまとめているので参考にしてください
※長いので、気になるものだけチェックしてもよいですよ。
カンジダ腟炎
・気を付けたい時期は妊娠8〜36週
・産道感染
妊婦さんの半数以上がなると言われ、真菌というカビの一種が原因。抵抗力が落ちた時に発症します。
感染すると外陰部のかゆみや豆腐のかすのようなおりものが増えますが、薬で治療すればすぐに治ります。
赤ちゃんへの影響は?
出産までに治らないと分娩時を産道感染し、赤ちゃんの口の中が白くなる鵞口瘡(がこうそう)になったり、おむつかぶれがひどくなることがあります。
インフルエンザ
・気を付けたい時期は4〜36週
・飛沫感染、接触感染
妊娠中は抵抗力や免疫力が落ちているので、インフルエンザウイルスに感染すると重篤化しやすいので注意!
タミフルやリレンザで治療できるので、早期に治療するようにしましょう。
赤ちゃんへの影響は?
おなかの赤ちゃんの成長や機能には影響ありませんが、妊婦さんがインフルエンザになると早産率が高くなることがわかってきています。
水痘(水ぼうそう)
・気を付けたい時期は、4〜11週、36〜39週
・空気感染、飛沫感染、胎内感染
顔や全身に出た発疹が水疱になり、発熱も。お産直前に感染すると重篤化するので、免疫がない方は要注意!
赤ちゃんへの影響は?
妊娠初期に感染すると赤ちゃんが先天性水痘症症候群になる可能性があります。
リンゴ病
・気を付けたい時期は、4〜36週
・飛沫感染、胎内感染
パルボウイルスが原因。頬がりんごのように赤くなり、発熱や関節通が起こります。治療はしないので、ふつうに過ごすことが多いです。
赤ちゃんへの影響は?
妊娠中に感染すると赤ちゃんが胎児水腫になり、早産・流産を引き起こす可能性があります。
風疹
・気を付けたい時期は、4〜20週
・飛沫感染、胎内感染
風疹ウイルスで感染します。体全体に赤い発疹が出ますが、症状があまり出ないこともあります。妊娠20週までに感染すると、赤ちゃんにも高い確率で感染するので、妊婦健診で風疹の抗体があるか確認します。
赤ちゃんへの影響は?
妊娠20週頃までに感染すると、白内障、難聴、心臓奇形などの障害をもった赤ちゃんが産まれてくることがあります。
クラミジア
・気を付けたい時期は、4〜36週
・性行為感染、分娩時に産道感染
自覚症状がほとんどないので、妊娠中の血液検査でわかる人が増えています。コンド―ムをつけないことが原因だったり、喉から感染することもあります。妊娠していない時には、不妊の原因にもなります。
出産までに治るように抗菌薬を服用しましょう。パパが感染したままだと、ママに再感染する可能性があるので夫婦で治療することが大切です!
赤ちゃんへの影響は?
産道感染すると、新生児結膜炎や新生児肺炎になる可能性があります。
妊娠中の感染症の感染経路は?
妊娠するとママだけの体ではないので、いつも以上に感染症に気を付けたいと思う方は少なくないと思います。
感染症にならないように、感染経路を知っておくことも大切ですよ。
妊娠しているママへの主な感染経路
空気感染
空気中を浮遊している細菌などの病原体を吸い込むことによって感染します。
代表的なものには、結核、水痘、麻疹などがあります。
飛沫感染
咳やくしゃみなどの飛沫に含まれる病原体が、他の人の粘膜に付着することで感染します。
代表的なものは、インフルエンザ、風疹などです。
接触感染
皮膚や粘膜の接触のほかに、手すりやドアノブなど間接的な接触で病原体が粘膜に付着します。
代表的なものは、インフルエンザなど。
血液感染
注射や輸血などの医療行為を介するケースや、外傷による出血がほかの人の粘膜に触れるなどで感染します。
代表的なものは、HIV、B型肝炎
性行為感染
セックスによって感染することもあります。
代表的なものは、クラミジア、性器ヘルペス、梅毒などがあります。
ママから赤ちゃんへの感染経路は?
妊娠中のママからはどういった感染経路で赤ちゃんに感染してしまうのでしょうか?
赤ちゃんには主に3つの感染経路で感染します。
①胎内感染
ママの胎盤を通して、病原体が赤ちゃんに感染する場合と子宮頸部・膣にいる病原体が赤ちゃんに感染する場合があります。
②分娩時に産道を通って感染
分娩時に子宮収縮により、ママの血液から赤ちゃんに感染する場合と、赤ちゃんが産道を通る時に感染する場合があります。
③経母乳感染
産後に授乳することで母乳内やママの血中にある病原体が赤ちゃんに感染する場合があります。
妊娠中には、胎内感染で赤ちゃんに感染してしまうことがあるので注意してください。
妊娠中の感染症!赤ちゃんへの影響は?防ぐための方法は?
感染症による赤ちゃんへの影響は?
ママが感染症にかかってしまった場合、ただの風邪や胃腸風邪などなら特に心配はいりませんが、感染症の種類によっては赤ちゃんに影響がでるものもあります。
主な赤ちゃんへの影響は、
①早産・流産のリスクが高まる
②先天性の病気や障害のリスクが高まる
③赤ちゃんの病気がうつる(生まれてから結膜炎になる、水疱ができる、肺炎になるなど)
などの影響が出ると言われていますので十分に注意しましょう。
妊娠中の感染症を防ぐためには?
感染症になる前の予防がとても大切なので、感染しないように日頃の生活でこころがけてください。
【感染症を防ぐためのポイント】
①規則正しい生活で体調管理をしっかりと
妊娠中は以前より免疫力が落ちがちなので、普段から規則正しい生活を意識して自分の体調をしっかりと管理するようにしましょう。
②必要以上に混んでいるところに行かない
飛沫感染を予防するためにも、不用意な外出はできるだけ避けましょう。不特定多数の人と接触すると感染症になるリスクが高まります。
③外出後は手洗い・うがい
外からのウイルスを家の中に持ち込まないように外出後は必ず手洗い・うがいをするように習慣づけてください。家族みんなで行うようにしてください。
④性行為のときにはコンドームを使用
妊娠中の性行為の時には感染症を防ぐためにも必ずコンドームを使うようにしてください。また、性行為の前には体や手指をきれいにしてから行うことで、他の雑菌が体内に入ることが少なくなります。
まとめ
妊娠中は普段より免疫力が弱くなっています。
感染症にかかると、ママの体にもおなかの赤ちゃんにも何らかの影響があるので注意が必要ですよ。
普段から、ウイルスに感染しないように清潔を心がけて感染症を防げるように過ごしてくださいね!
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